この度、双葉社より『消費税アップを逆手にとる販促テクニック』という本を発売することになった。タイトル通り、今回の消費税アップを経営コンサルタント視点で徹底的に解説して、増税に向けた「駆け込み需要」と「買い控え」の販促対策について述べた内容となっている。
お気づきの人もいると思うが、実はこの本、まだ消費税が導入されるかどうか分からない状態で執筆を開始した経緯があった。
「このまま消費税は導入しないのでは?」「1%ずつ5年かけて消費税をあげていくのでは?」等、さまざまな憶測が飛んでいる中、不安にさいなまれながらも、もくもくと情報を集めて書き続けた。
そして、執筆が終えると、今度は編集者と発売日についての検討。
「10月1日に消費税導入の発表するのではないか?」という予測を立てて製本をして、奇跡的に10月1日に安倍首相が消費税導入を発表することになり、危うく、全ての本を破棄処分することから免れた・・・・・・。
このような事情もあり、今回、消費税導入に関して、経営コンサルタント的な視点で、さらに最新情報を織り込んで、みなさんの商売に少しでもお役に立てればと思い、消費税に関する消費者アンケートを実施した。今後の消費税増税対策に非常に役に立つデータが盛りだくさんとなっているので、ぜひ参考にしてもらいたい。
リサーチ概要
■リサーチ会社 楽天ビジネス/■調査日 9月6日/■対象者 全国の男女50名ずつ100名/■平均年齢 44.82歳/■質問内容 消費税増税に関する設問10問
Q1.今後、消費税が上がる直前に、駆け込みで何か商品を買い物する予定はありますか?
「駆け込み消費をする」と回答した人が28%。まだ消費税が施行されるのが半年も先なのに、すでに3割近い人が駆け込み消費を意識している。おそらく、マスコミで駆け込み消費の報道が過熱すると、来年の2~3月頃には、半数近い人が駆け込み消費に対しての意識を高めていることは確実だろう。
Q2.■前問で駆け込みで買い物を「する」とお答えの方にお伺いします■消費税増税前に「駆け込んで買う」という商品は何ですか?(いくつでも)
増税分の差額が生まれやすい高額商品よりも、食料品や日用雑貨等の低額商品に駆け込み消費が強まっていることが分かる。住宅や贅沢品の一部にしか、駆け込み消費の恩恵を受けないと思っている人は多いが、このリサーチ結果からも、低額商品にまで販促のチャンスが広がっていることが分かる。
(なお、消費税増税によって売れる商品、売れない商品の予想商品は著書「消費税アップを逆手にとる販促テクニック」に記載しているので参考にしてもらいたい)。
Q3.■先程駆け込みで買い物を「する」とお答えの方にお伺いします■駆け込みで買い物をするのはいつ頃からですか?
10月と12月と3月の3回に駆け込み消費の波が集中することが分かる。つまり、「増税発表直後」と「年末商戦」、そして「消費税アップ直前」は駆け込み消費に対する体制は整えていたほうがいい。特に今月10月は「消費税増税発表直後」なので、消費者がネットを利用して商品を品定めしている可能性が高い。ホームページ等のキャッチコピーやページクオリティのアップは必須作業となる。
Q4.消費税に関連するお店のキャッチコピーで、次の4つのうちもっとも買い物意欲が沸いてくるのはどれですか?
人気があるのが、「今、商品を購入すれば、消費税分1万円がお得ですよ!」「消費税5%さよならキャンペーン!」の2つ。やはりお得感のあるキャッチコピーは消費者に指示されやすい。対して、「消費税増税直前になると注文が殺到して、在庫がなくなるかもしれません!」「消費税増税まで、あと5日です!お急ぎください!」は、若干、売り手側の“煽り”が見えるので、あまり消費者には支持されていないことが分かる。
「節約する」と回答した人が38%。思いのほか少ない数字といってもいいのではないだろうか。ただし、「どちらでもない」という浮遊客が、半数近く占めている状況を考えれば、時間と経過とともに節約する消費者が増えて、最終的には、節約希望者が半数以上を占める可能性は高いと言える。
Q6.■前問で節約を「する」とお答えの方にお伺いします■節約する商品は何ですか?(2つまで)
節約する商品のトップ3が「洋服代」「食事代」「レジャー費」。アパレルと外食産業は、増税後の市況を要警戒である。また、増税直後にあるゴールデンウィークは、レジャー産業を直撃する可能性があるので、観光業等は販促企画や事前予約等で集客に力を入れたほうがいいだろう。なお、子どものお小遣いと子どもの養育費に関しては、一切、節約する予定はないそうである。教育産業強し。
Q7.現在税込1,980円の商品と仮定して、増税後の価格表記で一番望んでいる表記方法はどれですか?
『2,036円(税込)』と『2,036円(本体価格1,886円消費税150円)』『2,036円(うち消費税150円)』がほぼ横並び状態。グラフを見てもお分かりの通り、“税込表示”が圧倒的に消費者に支持されている。反対に“税別表示”を望んでいる消費者は全てを合計しても28%しかおらず、いかに消費者が現状の“総額表示”を希望しているかが理解できる。ただし、『1,980円(税別3%)』の表記を希望している人がまだ3%おり、この結果からも一部消費者が、消費税の総額が「3%」と誤解していることが垣間見ることができる。実際に消費税は「8%」であり、「消費税3%」という表記は誤表記となるので注意が必要。また、『1,980円(税別)』の表記は、何パーセントの消費税が徴収されるのか分からないことから、指示する人はゼロという結果となった。
(なお、消費税増税による外税内税の価格表記対策に関しては、著書「消費税アップを逆手にとる販促テクニック」に記載しているので参考にしてもらいたい)。
Q8.増税後の価格表記で「税込」「税別」が混在して、買い物時にトラブルが発生すると思いますか?
「トラブルはまったく発生しない」と回答している人は、わずか6%しかおらず、ほとんどの消費者が、なんらかしらのトラブルが発生することを懸念している。この状況からも、いかに価格表記を変更した際に、お客さんへの適切な説明が必要なのかが理解できる。
「少しは不安を感じる」と「とても不安を感じる」の両方を足して8割を超える結果となった。このリサーチ結果からも、消費税増税後の生活に不安を感じている人がいかに多いことが理解できる。アベノミクスの恩恵は、一般消費者はほとんど受けておらず、売り手以上に買い手は生活に対しての防衛本能が強いことが分かる。増税後の買い控え対策は徹底しておこなったほうがいいだろう。
Q10.増税後によく利用すると思われる店舗形態は次のうちのどれですか?
半数以上が節約の際の買い物に「スーパー」を挙げている。対して、楽天グループのリサーチ会社を利用した調査にも関わらず「ネット通販」と回答した人が25%しかいなかった。この点からも、「節約」と「ネットショップ」の相関関係は、消費者の中で直結していないことが分かる。しかし、逆を言えば、生活必需品や日用雑貨等の節約品の販売はネットショップでまだまだ活路があると言えるのではないだろうか。また、コンビニやネットショップにお客さんを取られてきたスーパーマーケットは、増税後の節約需要の時こそ、お客さんに対するサービスやお得感を強化して、お客さんを囲い込み絶好のチャンスがあると言える。
なお、これらの消費税増税対策に関する販促のノウハウは経営コンサルタント・竹内謙礼の著書『消費税アップを逆手にとる販促テクニック』に詳しく記載している。Amazonをはじめ、全国書店にて発売しているので、ぜひ機会があったら目を通してもらえれば幸いである。
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