経営コンサルタントの竹内謙礼の公式ブログ。

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なぜ「お試しセット」はお試しで終わるのか?

こんにちは。いろはの竹内です。

 

先日、社会人の長女が、

「お父さんのこと、今日から『オッサン』と呼んでいい?」

と、許可を求めてきました。

 

ええ、長引くリモートワークで、

少し疲れているのかもしれません。

 

私は「ふー」と息を吐いて、

「まぁ、聞こうじゃないか」と、

長女の目を見て話し始めました。

 

「根本的なことから聞いていいか?」

「どうぞ」

「なぜ、父親をオッサンと呼びたくなった?」

「だって、お父さんは“おじさん”でしょ」

「年齢的にな」

「『おじさん』が変化した言葉が、『オッサン』になるのは分かるでしょ?」

「分かる」

 

「じゃあ、“おばさん”が変化したら?」

「えっ?」

「言ってみ?」

「・・・」

 

「『おばっさん』なんて呼ばないでしょ?」

 

「・・・うん」

 

「つまり、オッサンは“おじさん”にしか使えない呼称なの」

「・・・」

「要するにオンリーワン」

「・・・」

「素敵でしょ?」

「・・・」

 

「どう? オッサンって呼ばれたくなった?」

 

なんねーよ!

 

なんだよ、その説得力がありそうで、まったくない話は!

そんなテキトーな話を偉そうにペラペラしゃべるのは、

 

いったい誰に似たんでしょうか?(オッサン譲り)

 

ということで。

みなさん、11月19日のAmazonPayプレゼンツの

「ネットショップ攻略セミナー」は、お申し込みされましたか?

 

こちらの告知ページでは、動画で私、竹内謙礼が、

セミナーの内容にチラリと触れているので、

ぜひ、ご覧になって頂ければと思います!

https://netshop.impress.co.jp/event/amazon-pay-2021

 

本日のメルマガでは、そのネットショップ攻略の、

「安売り」について、いろいろ語らせてもらえればと思います。

 

「恣意の一貫性」とは?

アメリカの行動経済学者のダン・アリエリー教授が、

興味深い「数字」の実験をしました。

 

学生などを集めて、自分の社会保障番号の

下二桁の数字00~99を用紙に記入してもらい、

その上で、ワインのボトルを出して、

0ドルから99ドルの価格の間で入札させて、

 

「一番高い金額をつけた人に、その価格で販売しますよ」

 

と、指示を出したところ、

社会保障番号の下二桁の数字が大きい学生ほど、

 

より高い価格を提示する傾向があったそうです。

 

つまり、個人の番号と、ワインの好みや評価はまったく関係がないのに、

用紙に書いた数字が、入札価格に大きな影響を及ぼしたことになります。

 

この行動心理を『恣意の一貫性』といいます。

 

最初に提示した価格が、恣意的でデタラメなものだったとしても、

それが私たちの意識に定着してしまうと、

将来の価格まで決定づけられてしまうのです。

 

この理屈から言えば、

最初に安い「お試しセット」を買ってもらって、

その後、商品を気に入ったからといって、次に定価で買ってくれるなんて、

そんな都合のいい客なんているわけがないですよね。

 

低価格の「お試しセット」から客単価の引上げが可能なのは、

 

付加価値が伝わりやすい実店舗のビジネスか、

商品ではなく、売り手を好きにさせるビジネスか、

商品力がダントツで優れているのか、

 

この3パターンしかありません。

それなのに、セール販売の時期にタイミングを合わせて、

付加価値が伝わりにくいネットショップで、

送料込みで貧相な商品を送りつけられた客が、

 

「次は高くても買います!」

 

なんて都合のいいストーリーがあるわけないんです。

 

いいですか?

 

価格が比べられやすいネットショップの場合、

ポイントやセールに頼って商品を売ってしまうと、

そのインパクトが強すぎるあまり、

客に付加価値が伝わりにくくなってしまうんですね。

 

ダン・アリエリー教授の実験のように、

一度、記憶の中に定着した「安く買った」という経験は、

次に買う時も、脳に「安く買え」と信号を送ってしまい、

せっかくの商品の付加価値も霞んで見なくなってしまうのです。

 

もちろん、一度使ったら病みつきになる商品力があれば、

恣意的に一貫性は成立しなくなります。

 

しかし、そのような客を虜にするような魅力ある商品は、

本当にごくごく一握りしかなく、

おそらく世の中の9割ぐらいの商品は、

「安いほうでOK」と、代替えできてしまう商品なんだと思います。

 

ネットショップ運営なんて、最終的には我慢比べみたいなものですからね。

 

価格の安さで買わせないために、

いかにネットのコンテンツだけで「欲しい」と思わせるか、

そこを踏ん張れた企業だけが、利益を出すことができるゲームなんです。

 

一方で我慢が効かず、踏ん張れなかった企業が、

安売りをしたり、ポイントをつけたりして、

売上高だけを意識した、いつまで経っても儲からない

悲惨なネットショップ運営を続けることになります。

 

最初に売上だけを意識したネットショップ運営をしてしまうと、

その後も売上しか意識しないネットショップ運営しかしなくなるので、

永遠に安売りのループから抜け出せなくなるのです。

 

そんな惨めな思いにならないためにも、

早い段階で「正しいネットショップ運営」を学ぶことが、

これからのEコマース事業者には求められるんだと思いますよ。

 

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編集後記

おおざっぱに計算した例え話ですが、

定価100円・原価50円の商品を、半額の50円で売って、10人が買ってくれるのと、

定価100円・原価50円の商品を、広告費500円を使って、1人が買ってくれるのとでは、

後者のほうが長期的に見れば儲かると思うんですね。

 

前者は10人が50円で商品を買って、500円の売上高になり、

広告費の持ち出しがないので、損はしていませんが、

利益はまったく出ていません。

しかも、買った10人は、次に倍の値段を払って同じ商品を買うわけありませんから、

この会社の儲けは永遠にゼロのままになります。

 

一方、後者は定価で1人が買ってくれたので、50円の儲けが出ました。

広告費に500円使っているので、マイナス450円の状況ですが、

定価で買ってくれたのなら、その客は継続して定価で買い続けてくれる可能性が高いので、

その後は広告費を使わなくても、定期的に50円の利益が得られる客として、

長くお付き合いしてくれるようになります。

 

仮に月に1個買ってくれるのなら、9カ月以降は利益になりますし、

そのような定価で購入してくれる優良顧客が

500円の広告費を投資すれば確実に増えていくことが分かれば、

売り上げを伸ばしていく広告戦略が見えてくるようになります。

 

もちろん、この話にはもっともっと複雑な数字が絡んできて、

こんな都合よく話が進むものではないんですが、

最終的には、

 

・定価で買ってくれる商品力

・継続して買ってくれる販売力

・利益を出すための広告投資力

 

この3つの力がネットショップに利益をもたらせてくれるんだと思います。

一方で、これらに力がない経営者は、

 

・安くしないと売れない商品力

・その場しのぎの販売力

・ケチ臭い広告投資力

 

この3つの“しくじり力”で、

ネットショップ運営を台無しにしています。

 

思っているよりもネットショップ運営は複雑で難しくて、

根気がいるんですよ。

 

■満席になり次第終了! 11月19日(金)
『ネットショップ運営を改善する5つのポイント』
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楽天市場等のネットビジネスで
多くの受賞履歴
あり。

大企業、中小企業問わず、実店舗ビジネス、ネットビジネスのアドバイスを行なう経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。特にキャッチコピーによる販促戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。
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