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⑪新聞折込チラシのかんたん効果測定方法は?

   新聞折込チラシは配布時の戦略作りも大切ですが、配布後の効果検証も非常に大切です。この効果測定をしないと、同じミスを繰り返すことになってしまい、費用対効果の悪い販促になってしまいます。ここでは、非常に簡単な効果測定方法を紹介しますので、ぜひ、参考にしてもらえればと思います。

≪もくじ≫
・「割引券」ほんの少し工夫するだけで客の動向が丸分かり
・「メールアドレスをご記入下さい」で何人書いてくれるのか?
・新聞折込チラシを配布していないエリアから集客する方法
・新規顧客がザクザクとれるエリアをピンポイントで炙り出す方法とは
・効果測定ばかりやっているマーケッターは、なぜ仕事ができないのか?

【「割引券」ほんの少し工夫するだけで客の動向が丸分かり】
 効果検証を行ったのは、千葉県成田市内にあるラーメン店の新聞折込チラシです。住所とメールアドレスを記載するスペースを設けた割引券を添付して、その割引券を回収した枚数で効果測定を行いました。出来上がった折込チラシは、5500部で、2500部と3000部に分けて、金曜日と土曜日に成田市内に配布しました。その結果が下記になります。

≪配布枚数≫
5500枚配布(24日【金】・2500枚 25日【土】・3000枚)

≪割引券回収≫
24日(金) 14枚
25日(土) 17枚
26日(日) 18枚
計 49枚(回収率 0.89%)
※うちメールアドレス記入は25件

≪費用≫
折込料金 25,850円(A3 1折)
印刷費  20,240円 (うち500枚サンプルで使用)
デザイン料金 10,000円
合計 56,090円(1人あたりの顧客獲得コスト 1,144円)

【「メールアドレスをご記入下さい」で何人書いてくれるのか?】
 比較対象にするデータがないので、評価が分かれるところかもしれませんが、新規顧客を店舗に呼び込むのに1144円のコストというのは健闘したほうだと思います。また、新聞折込チラシにメールアドレスの書き込み欄を用意しましたが、そこに50%近いお客様が、積極的にメールアドレスを記載してくれたことは大きな収穫と言えます。しかも、記入欄には『ラーメン店からお得なお知らせをご希望される方はご記入下さい』と注意書きが記されているのにも関わらず、メールアドレスを記載してくれたということは、それだけ、質の良いお客様が集まった証拠と言えます。

 今現在、個人情報の顧客獲得コストが1万円を越えると思われる状況下で、25件の「携帯にラーメン屋のお得情報を送って欲しい」というお客さんを獲得できたことは非常に大きいです。やはり、優良顧客を獲得するのは、ネットよりも実店舗であることを改めて実証されたと言えます。

【新聞折込チラシを配布していないエリアから集客する方法】
 次にエリア特性の検証も行いました。まずは、今回、割引券を回収した際のお客様の住所から、エリアと曜日の関連性のデータをまとめてみました。

 このデータから金、土、日で突出した曜日がないことがお分かりになると思います。つまり、曜日による折込チラシのレスポンスの違いは、ほとんどないことが推測されます(もちろん、もっと配布回数を増やさなければ、確実なデータを回収することはできませんが)。また、もうひとつ面白いデータとしては、「金曜日」の割引券が、ほとんど“配布エリア外”からのものだったという点です。14枚回収したうちの、新聞折込チラシの配布エリア外からの回収が、実に10枚。「どうやって、新聞折込チラシを入れていないエリアから、この割引券を持ってきたんだ?」と疑問に思いましたが、よくよくエリア特性を見てみると、ある法則があることに気づきました。それは、お客様の住所から推測すると、どうやら会社に配られている新聞から折込チラシの割引券を入手し、その足で会社の帰り道にラーメン屋に立ち寄って、ラーメンを食べているようなのです。そのために、金曜日の平日が突出して、新聞折込チラシの配布外のお客様が多いというデータが抽出されたのでした。

 会社で新聞を読んで、そこに挟まっている新聞折込チラシの割引券を持参することは、まったく予想していませんでした。おそらく、昼休み等に休憩室で新聞の折込チラシを見つけて、「帰りに寄ってみよう」という来店動機に繋がったんだと思います。さらに、「会社帰りでなければ立ち寄れない」という限定感も、来店への背中押しとなったと思います。

 この結果から、平日、さらにはオフィス街、工場などがあるエリアに、割引券付の折込チラシを撒くというのも、販促手法で一考する価値があると思います。むしろ、平日の割引券のほうが、すでに“外”に出ているので、来店するハードルは自宅からわざわざ足を運ぶよりも低いので、高い反応率が得られると思います。

 

【新規顧客がザクザクとれるエリアをピンポイントで炙り出す方法とは】
 もうひとつ、効果検証で分かった点は、「中台」という住宅エリアが突出して割引券の持参率が高いという点でした。3日間で10枚。全体の20%のお客様が、「中台」のエリアからの来店でした。特に中台という住宅エリアに、特徴があるわけでもなく、ラーメン好きが住んでいるエリアというウワサなど耳にしたことはありません。しかし、地図上で「中台」とラーメン店の位置関係を調べてみると、おおよその仮説を立てることができました。

 成田市周辺の美味しいラーメン屋は、エリアごとに固まっている傾向があります。上記の地図でいうとAのエリアには美味しいラーメン屋が集中していますが、中台の住民にとってはJR線と京成線の二つを越えなくてはいけないので、車の移動では大変面倒なところにあります。Bのエリアにも新勢力のラーメン屋が点在していますが、こちらのラーメン店の集団は味がAのエリアよりも若干劣る傾向があります(好みの問題ですが)。

  また、このBのエリアには、これといった大きな商業施設もないので、用事がない限りクルマを走らせることはほとんどありません。成田駅前のCのエリアも美味しいラーメン店は軒を連ねていますが、いかせん、駅前ということもあって駐車場が狭いという難点があります。また、駅周辺に足を運ぶのは、クルマ社会が浸透した成田市民から見れば、やや億劫な立地といえるでしょう。

 そう考えれば、「中台」とラーメン店の距離感、立地は、実は住民にとって、非常に「行きやすい」エリアだったのではないかと推測することができます。途中に美味しいラーメン屋もなく、客がなびいてしまう恐れもありません。さらに、ラーメン店の先には成田市最大のイオンショッピングモールが控えています。中台の住民が「土日にイオンに買い物に行った帰り道に、ラーメンでも食べてみようか」と考えるのは、ごくごく自然の流れといってもいいでしょう。

 これらの結果から考えると、今後、経費を抑えながら新聞折込チラシを配布するのであれば、「中台」の住宅に集中的に狙ってみるのも一手です。1週間連続で折込チラシを入れてみるのもよし、朝日新聞、読売新聞、日経新聞と、3紙の新聞折込チラシを展開するのも面白いと思います。
 このように、新聞折込チラシに住所の記入欄を設けておくと、今後の新聞折込チラシの戦略のヒントになるようなデータを多数集めることができます。ただ闇雲に新聞折込チラシを撒くのではなく、反応率をさらに上げていく施策を展開していってもらえればと思います。

【効果測定ばかりやっているマーケッターは、なぜ仕事ができないのか?】
 最後に補足ですが、このような効果測定が可能になったのは、やはり「すぐに買うもの」が新聞折込チラシに掲載されたからです。価格が安く、日常的にすぐ食べに行ける「ラーメン」という商材のために、割引券の戻りが良く、効果測定が可能になった一面があります。これがもし、リフォームや工務店、仏壇等の「しばらく買わないもの」であれば、思うようにデータが集まらなかったと思います。「しばらく買わないもの」に関しては、レスポンスが分かりにくい分、効果測定で細かい数字を追うことは止めたほうがいいと思います。それよりも、定期的に配布する新聞折込チラシで、会社でお客様に対して訴えたいこと、理解して欲しいことを、継続的にメッセージとして伝えたがほうが、長い目で顧客の育成につながっていくはずです。

▲「しばらく買わないもの」は、1回1回の新聞折込チラシの反応は偶然の要素が強く出てくる数値があまり参考にならない。それよりも、お客様の印象に残る読みやすいチラシを作り、定期的に出し続けることのほうが高い反応率を出すことができる。

 例えば、工務店の場合、新聞折込チラシを配布して、新築の見学会に10人来る日もあれば、2人の日もあると思います。しかし、「家を買う」という対象になる消費者自体が、そもそも偶然性が高く、非常に少人数なので、これらの効果測定のための数字は、非常にブレやすくなります。

  つまり、Aというチラシで10人見学に来て、Bというチラシで2人しか見学に来なかったとしても、これは“偶然”の出来事でしかないので、このあたりの数値に振り回されて「このチラシは写真がダメだった」「このチラシはキャッチコピーがダメだった」と右往左往してしまうと、せっかくの会社の方針やポリシーがブレた新聞折込チラシになっていってしまいます。

  そうなると、お客様に購入する理由がなかなか浸透していかない新聞折込チラシになってしまい、さらにレスポンスが悪い販促チラシになってしまいます。そうならないためにも、「しばらく買わないもの」に関しては、今回のような効果測定方法は参考にせず、チラシを配布した時に、どれだけホームページのアクセス数が増えたとか、無料プレゼントを行って、どれだけの人が新聞折込チラシを見ているのか、そのような反応が出やすい数値を基準にして、効果測定を行ったほうがいいと思います。

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楽天市場等のネットビジネスで
多くの受賞履歴
あり。

大企業、中小企業問わず、実店舗ビジネス、ネットビジネスのアドバイスを行なう経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。特にキャッチコピーによる販促戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。
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