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効果的なポスターを印刷するためのサイズと紙質の知識

展示会でのブースへの誘導、店頭でのキャンペーンの告知、電車内や駅で展開する交通広告など、ビジネスでポスターを利用するときに、より安い金額で無駄なお金を使うことなく印刷するための方法を紹介しています。

また、魅力的で宣伝効果が高まるポスターづくりをするために、知っておいたほうがよいもまとめていますのであわせて参考にしてください。

ポスターのサイズはどのくらいにすればよいのか

ポスターをつくるときにまず考えるべきことは、サイズです。ほかのDMやチラシなどの印刷物の場合、まず原稿や写真・イラスト・図表などの内容から考える流れでもよいですが、ポスターに関してはサイズから考えることをおすすめします。なぜなら、サイズによって伝えられる情報量や、見た目が大きく変わってくるためです。

ここでは、一般的なポスターのサイズを、イメージがつくように実際にみなさんがご覧になったことがある例をあげながら説明しています。サイズ選択のときに参考にしてください。

一般的なポスターのサイズは、縦の長さが約40センチから約1.5メートルまでさまざまあります。ポスターの面積はA判とB判という2種類のパターンがあり、さらにA判とB判それぞれにサイズの違いがあります。

具体的な大きさは以下のとおりです。

<A判>(単位:ミリメートル)
A0:841×1,189
A1:594×841
A2:420×594
A3:297×420

<B判>
B0:1,030×1,456
B1:728×1,030
B2:515×728
B3:364×515

多くの印刷会社は、この計8種類の大きさのポスターに対応しています。
お気づきかと思いますが、A判とB版はコピー用紙のサイズにも用いられています。A判が国際サイズで、B判は日本オリジナルのサイズです。

A0とB0の「0」は紙の元のサイズ、という意味です。「0→1」や「1→2」のように判の数字を1つ増やすと、紙の面積は半分になります。つまりA1はA0の紙を半分に切った大きさになるわけです。ちなみに一般的なコピー用紙はA4のサイズで、ノートはB5が多いですので、それを倍にしていけばサイズのイメージがつくと思います。

A0とB0は大判ポスターと呼ばれます。縦型のポスターをつくると、B0だと高さが約1.5メートルになり大人の女性ほどの大きさになります。かなりインパクトがあるポスターをつくることができるでしょう。またA0やB0は、建築物の図面にも使われています。

ポスターとして最も一般的なサイズはA1またはB2です。縦が1メートルを切るぐらいの長さで、インパクトがある割に貼る場所にそれほど困らないサイズです。これだけの面積があれば、文字情報をしっかり盛り込みながら、デザインを凝ることもできます。A2やB2は、その次にポピュラーなサイズです。

電車内の吊りポスターは、B3を横長にして使っています。電車内の吊りポスターは閲覧者(乗客)が移動できないため、長時間しっかり読まれる特徴があります。週刊誌の吊りポスターは、文章を読むように記載内容を確認する人もいるので、大きめの字を大量に書くことができる大きさが求められます。

しかし電車内の吊りポスターはクライアント(広告を出す企業)に人気があるため、鉄道会社としてはなるべく多くのポスターを貼って広告収入を増やしたいと考えます。そこでB3という、大きすぎず小さすぎないサイズが電車内の吊りポスターに採用されたわけです。A3は小型ポスターという位置づけで、大量に作製し大量に貼る用途に適しています。選挙用の候補者ポスターは300×420で、ほぼA3と同じ大きさになっています。

このように、掲載場所にあわせてさまざまなサイズが選択できます。基本的には目立たせるためになるべく大きいサイズで作ったほうがよいです。ただし、たとえば狭い店内で大きすぎるポスターを貼ると全体を把握しにくくなって視認性が悪くなります。つまりポスターを眺める人とポスターまでの距離を考慮してサイズを選ぶ必要があります。

特殊なサイズやB0以上の大型の
ポスターはどう作る?

ポスターは一般的なサイズのほかに、特殊なサイズや大型で作製することができます。
普段見かけないような特殊なサイズや変わった縦横比でポスターをつくることで、意外性を出して注目を集めることができるかもしれません。

印刷会社によって対応してくれるサイズは異なりますので、印刷会社に相談してみましょう。たとえばネット印刷物販売のラクスルでは、短冊ポスターを用意しています。

サイズバリエーションは以下のとおりです。

A1短冊:297×841
A2短冊:210×594
B2短冊:257×728
B3短冊:182×515
(単位:ミリメートル)

いずれも、元のサイズを横置きにして、縦に半分に切った長さになっています。短冊ポスターは掲示スペースが変則的なときに有効です。また縦(または横)に極端に長いという形状から異質感を演出でき注目度がアップします。

光沢紙?コート紙?
ポスター印刷に使われる紙の種類と特徴

ポスターをつくるときは紙質にもこだわってみてください。ポスターに描く製品やサービスやイベントの雰囲気と紙の風合いをマッチさせると、より効果的にPRができるからです。また、光の当たり方によって見え方が大きく違うので、実際にポスターを貼る場所の照明の状態を考慮できればより理想です。

光沢紙

光沢紙はその名のとおり表面に光沢がある紙です。鮮やかな仕上がりになり、生鮮食品や若いモデルを使ったポスターに向いているかもしれません。インクジェットのプリンターで印刷してもにじみが出ない利点があります。またコストを抑えることもできます。
ただポスターの表面に指紋がつきやすく取り扱いに注意が必要です。特にポスターを壁などに貼り付けるときは、作業者や綿手袋を着用したほうがいいかもしれません。

コート紙

コート紙も光沢があり、色の再現性では光沢紙より優れています。ポスターでPRする製品やサービスの高級感を演出することができます。コート紙は紙の表面に塗料を吹きかけているので、カレンダーのようにあとからペンで書きこむ必要がある印刷物には向きません。また、光沢のよさが傷を目立たせてしまうので、比較的長期間貼りっぱなしにする場合は、コート紙は使わないほうがいいかもしれません。ただ、多少ポスターに傷がついても気にならないのであれば、コート紙は水にも強いので戸外で重宝されています。

マット紙

マット紙はツヤや光沢を抑えた紙です。ポスターで落ち着いた雰囲気やボリューム感を演出したい場合に向いています。指紋がつきづらいメリットもあります。またマット紙は美術書にも使われるくらいですので、シックかつ高級感のある商品やサービスのPRポスターによいでしょう。水彩画のようなデザインにも適しています。

上質紙

上質紙の最大のメリットはコスト安です。ただ紙の表面をコーティング処理していないので高級感はありません。光沢もないので、美しい写真で閲覧者の興味をひこうと考えているポスターには不向きかもしれません。従業員向けにバックヤードで周知するためのポスターなど、シンプルな情報の伝達が主な目的の場合には上質紙は適しているのではないでしょうか。

合成紙

合成紙もコスト安のメリットがあります。合成紙は石油由来の原料を使っているので耐水性の高さが売りです。ちなみに上質紙は石油由来原料は使わず、紙パルプだけでつくっています。

紙だけじゃない!ポスター印刷に使われる意外な素材

ポスターは通常、紙でつくりますが、紙以外でつくることもできます。めずらしい素材でポスターを制作して強いインパクトを出すのも面白いです。

防炎クロスという難燃性の布に印刷する「布印刷」という技術を使えば、布ポスターをつくることができます。布印刷ポスターのメリットは、なんといっても素材の意外性です。ひと目で布製であることがわかるので、閲覧者を立ち止まらせる効果が期待できます。

また、布なので折りたたんでも貼るときに折り目がほとんどつきません。紙ポスターを運ぶときは、折りたたむことができず、そのまま平らの状態で重ねるか丸めなければならないのでかさばります。布ポスターなら畳んで段ボールにぎっしり詰め込むことができます。

布印刷のデメリットは、発色性が低いことです。写真がメインになるデザインには不向きです。またコストの高さが最大のデメリットです。1枚数千円から1万円以上します。条件次第では1枚数十円でつくることができる紙製ポスターとは非常に大きな差があります。

ディップ株式会社がつくるライメックスは、「石灰でつくった紙」です。ライメックスは木材パルプを一切使わない薄いシート状の素材で、普通の紙と同じように使うことができます。また、普通の紙は製造段階で大量の水を使いますが、ライメックス製造では水をほとんど使いません。ライメックスの原料は石灰なので、耐久性と耐水性そして劣化のしにくさは、普通の紙とは比べ物にならないくらい高いものとなっています。そして石灰は日本国内に大量に存在するので、100%自給が可能です。

ただ、布製ポスターほどではありませんが、ライメックスはコストが高い欠点があります。「紙代」だけで1枚数百円~数千円します。ポスターにするにはこれに印刷コストが上乗せされるので、大量にポスターをつくるときは向いていないかもしれません。

A4しか印刷できないPCでも大丈夫?
自宅でポスターを印刷する方法

ポスターは壁に貼って人々の注目を集める広告手法ですので、ある程度の大きさが必要になります。そこで一般的なポスターの大きさはA0~A3またはB0~B3となっています。
しかし自宅のパソコンとプリンターでは最大A4までしか印刷できないことが多いと思います。

A4の大きさは210×297ミリメートルです。A判のそのほかのサイズは以下のとおりですので、A4の小ささは際立っています。

A0:841×1,189
A1:594×841
A2:420×594
A3:297×420

A4のままでは、ポスターに適さないといえるでしょう。しかしA4を2枚つなげればA3のポスターになりますし、A4を4枚つなげればA2ポスターをつくることができます。その場合紙をつなげるのでセロハンテープで合体させる必要があり「手作り感」が出てしまいます。しかし、たとえば個人経営のカフェやボランティアイベントなどの告知ポスターであれば「味」が出ていいかもしれません。

家庭にあるプリンターに「ポスター印刷機能」がついていれば、「A4複数枚ポスター」を作製できます。ここではマイクロソフトofficeのワードでつくる方法を紹介します。

ワードでポスター原案を作製したら、「ファイル」のタグを開き「印刷」をクリックします。すると「プリンターのプロパティ」が出てくるので、それをクリックします。現れた画面(ダイアログボックス)に「用紙種類」があるので、それをクリックします。プリンターによっては「用紙種類」ではなく「用紙選択」や「用紙の種類」となっているかもしれません。そこに、購入してきたA4の紙質などを入力します。

次にダイアログボックスの「ページ設定」のタグをクリックして「割り付け/ポスター」と書かれた部分を操作していきます。この「割り付け/ポスター」の表記も、プリンターごとに異なるかもしれません。「割り付け/ポスター」の「設定」をクリックすると、別のダイアログボックスが開き、さらに詳しく設定できるようになります。そこに「ポスター分割枚数」が現れ、「2×1」「2×2」などと書かれてあります。「2×1」は「A4で作製したポスターの原稿を、A4用紙2枚に印刷する」という意味なので、A3のポスターを印刷できます。「4×4」ならA4用紙16枚をつなげてA0サイズの巨大ポスターをつくることもできます。

計算式で表すと、
A0(841×1,189)=A4×16((210×4枚)×(297×4枚))
となります。

あとは「印刷」を実行すれば、大型ポスターがA4ごとに分割されて印刷されます。

この自作ポスター作成の方法は、コストを節約したい人はもちろんですが、急にポスターが必要になって印刷会社の納期を待つことはできないというときに応急処置として使えます。

ポスターを分割して印刷するときの注意点

家庭用プリンターでA4用紙を何枚かつなぎ合わせて大型ポスターを印刷するときには注意点があります。

ワードでポスターの原案をつくるときは、A4のサイズでつくってください。A0サイズで原案をつくらないでください。

ここは重要なので、もう少し詳しく説明します。

ワードでは「レイアウト→ページ設定→用紙サイズ」で用紙のサイズを設定できます。ここでA0やA1の大きさにすることもできますが、これは「A0やA1のサイズの紙1枚に印刷する」ときの設定方法になります。

しかし「ワード+家庭用プリンター」では、A0の大きさでデザインした原案をA4用紙8枚に印刷することはできません。そこで「ワード+家庭用プリンター」でA0サイズのポスターをつくるときは、ワードではA4サイズでデザインして、プリンターで印刷するときにA4サイズをA0サイズに拡大して、それを分割して印刷するのです。

ポスターはコンビニで印刷できる?
印刷できるサイズは?

もしA3サイズのポスターを、A4 用紙2枚をつなげるのではなく、A3サイズ1枚で印刷したい場合、コンビニのコピー機を活用してはいかがでしょうか。

コンビニのコピー機を家庭のプリンター代わりに使うわけです。

大手コンビニは、「コピー機印刷」サービスを提供しています。自宅のパソコンでA3サイズのポスター原案を作成し、その原案のデータをネットでコンビニのサーバーに送信します。するとコンビニ側から「プリント予約番号」が発行されます。その番号を控えてコンビニに行き、店内のコピー機に番号を入力すればA3ポスターを印刷することができます。料金の相場は、白黒20円/枚、カラー100円/枚ほどです。

ただ、コンビニプリントは原則、家庭用プリンター同様、コピー用紙を使うことになります。そのため光沢紙やマット紙のような高級感あるポスターにはなりません。なお、ネットでコンビニのサーバーに送信する方法以外にもUSBメモリなどにデータを保存して持参して、印刷する方法もあります。

ポスターを作るときにオススメのデザインソフトは?

自分でポスターをデザインする場合には、できるだけクオリティを上げたいですよね。ポスターの制作のために便利なパソコンソフトがあります。

イラストレーター

イラストレーター(illustrator)というソフトは、ポスターづくりでは最もポピュラーです。アドビ(Adobe)という会社がつくっています。これを使えば、写真やイラストを自由に配置することができます。写真やイラストの加工もスムーズに行えます。
またレイアウトの自由度が高く、凝ったデザインのポスターをつくることができます。文字のデザイン(フォント)も多数備えているので、イメージ通りの仕上がりになるでしょう。

プロのデザイナーの多くは、このイラストレーターを使っています。
つまりこのソフトを高度に使いこなせるようになれば、プロ級の出来映えになるわけです。
ただ直感的に操作することは難しいかもしれません。最初のうちは、イラストレーター専用の参考書を読みながら操作することになるでしょう。スキルの獲得の難しさが、イラストレーターの欠点といえます。

クラウド型のポスターデザイン機能を使う

イラストレーターはソフトを購入して自分のパソコンにインストールする必要がありますが、インストールが不要なクラウド型のポスターデザインに使えるサービスもあります。

たとえば「Canva(https://www.canva.com/ja_jp/)」は、サイト上でポスターのデザインテンプレートを選択し、そこに画像や文字などを埋め込む仕組みです。

イラストレーターでつくるポスターが「完全オーダーメード」だとしたら、このようなクラウドサービスでのポスターづくりは「セミオーダー」タイプといえるでしょう。クラウド型のポスターデザイン機能はコストが安く済むメリットがありますが、デザインの幅はどうしても狭まります。

フリーソフトを使う

フリー(無料)のソフトをダウンロードする方法もあります。インクスケープ(Inkscape)は、先ほど紹介したイラストレーターに似た機能性を持つフリーソフトです。またギンプ(GIMP)はイラストを描いたり、写真を加工したりすることができるソフトで、これも無料です。写真を水彩画タッチに変えることもできます。かなりクオリティが高い画像編集が可能です。

フリーソフトはコストがかからないメリットがありますが、信頼性は有料ソフトに比べると落ちてしまいます。また、デザインをしているときにソフトの動作に不具合が起きた場合、「自己責任」になってしまいます。何時間もの作業が無に帰すこともあるのです。

フリーソフトを使うときは、何度か試験運用してから、本番のデザインに取りかかることをおすすめします。
また、デザインを自作するときにはこまめに途中で保存していくことが大切です。

ポスターを印刷できるプリンターや複合機

本格的な大型ポスターを印刷会社に外注せずに作製したい場合、専用プリンターを購入する方法があります。
ポスターを印刷できるプリンターはとても高価ですが、継続的に大量のポスターを印刷し続ける予定がある場合には検討対象になるでしょう。

キヤノンの「イメージプログラフ」シリーズはB0サイズ(1,030×1,456ミリメートル)のポスターを1枚紙で印刷することができます。ただ価格は約60万円します。A1サイズ(594×841、 A3用紙4枚分)まで印刷できればよいのであれば、やはりキャノン製のプリンターがあり、価格は約30万円ほどです。A3まででよければ、やや高級な複合機を購入する方法もあります。エプソンやブラザー、キヤノンなどが出していて、価格は数万円~20万円ほどです。

ポスター印刷のためにプリンターや複合機を購入するときは、使用頻度を十分検討してください。
「月10枚あるかないか」といった程度なら、インクの補充や機器のメンテナンス、置き場所などを考えると専門業者に毎回印刷を依頼したほうが無難です。

野外用?イベント用?
耐久性や耐水性の高いポスターの仕様

野外の長期間貼りっぱなしにしたり、屋外イベントで使ったりするポスターを作製するのであれば、耐久性と耐水性と耐候性に着目してください。屋根のない場所でこれらを意識しない普通のポスターを貼ってしまえば、すぐに雨風で傷んで見栄えが悪くなってしまいます。

ポスターはPRをするツールですが、日光で日焼けしてしまったり、破れたり、印刷がにじんだりしてしまったら逆効果になってしまいます。屋外に貼りっぱなしにするポスターでは、水に強い性質がある「ユポ紙」という紙を使うことが一般的です。ユポ紙はさらに、厚さの違うタイプがあります。厚いユポ紙のほうが丈夫で長持ちします。

また屋外ポスターでは、インキにも注意したいところです。にじみや退色(色あせ)がしにくい耐候性インキを使って印刷したほうがいいでしょう。
耐久性に優れた紙やインキを使うと費用がかさみますが、屋外ポスターは24時間休まず外で「働いている」ので多少のコストはやむを得ないかもしれません。

同人ポスターを印刷するには?

同人イベントのポスターを作製しようと考えている人は、コストよりクオリティを重視するのではないでしょうか。ポスターの印刷枚数も100枚や1,000枚単位になることはないと思いますので、お金をかけて発色の良さや紙の質感にこだわってみてはいかがでしょうか。とはいえ、こだわりの同人ポスターの作製であっても一般的な印刷会社に発注して問題ありません。実績がある印刷会社であれば、納得のいく仕上がりになるはずです

ただ、同人ポスターだけでなく、同人グッズも一緒に作製したい人は、同人イベント関連の印刷物を専門にしている印刷会社に依頼したほうがいいでしょう。同人イベントに強い印刷会社は「ツボ」を心得ているので、同人ポスターづくりのアドバイスをしてもらえるかもしれません。同人歴が浅い人なら、同人イベントを盛り上げる「コツ」を教わることができるかもしれません。

オフセット印刷、オンデマンド印刷って何が違う?
メリットとデメリットは?

質の高いポスターづくりを目指すのであれば、印刷の知識を持っていたほうがよいでしょう。そこでオフセット印刷とオンデマンド印刷の違いとメリット・デメリットを解説します。

オフセット印刷

オフセット印刷は、商業印刷の主流になっている印刷方法です。印刷を開始する前に「原本」をつくることが最大の特徴です。
たとえば一般的なコピー機は現物のコピーをつくるだけなので「印刷の見本→印刷物」という単純な工程で済みますが、オフセット印刷の工程は「印刷の見本→原本→印刷物」となります。
原本づくり(製版といいます)という工程を加えることで、写真の高い再現性、高品質、大量印刷、コスト安が実現できます。また高速印刷機を使うので、製版が終わった後の工程は時間がかかりません。
ただ製版にコストがかかるので、印刷部数が少ないと割高になるデメリットがあります。そして製版をつくる作業が必要なので、そこで時間をロスすると納期がかかってしまうことがあります。

オンデマンド印刷

オンデマンド印刷は、一言でいえばレーザープリントです。原本をつくらなくてよい(製版しなくてよい)ので、デザインが完成したらすぐに印刷することができます。

「オンデマンド」とは「要望ごとに都度対応する」という意味です。このような名称がつけられているのは、オンデマンド印刷は、コンピュータで読み込めるデータがあれば印刷することができるからです。

たとえば顧客(ポスターを必要とする人)がポスターのデザイン・データを印刷会社にメールで送り、###クレジットカードで料金を支払えば、指定した期日にポスターの現物が宅配便で届きます。この手軽さとスピーディーさがオンデマンド印刷のメリットです。

オンデマンド印刷のデメリットは、オフセット印刷より印刷物としてのクオリティが落ちることです。高級品のPRや重要イベントの告知をするポスターには不向きかもしれません。またオンデマンド印刷は、印刷部数が多くなると、オフセット印刷よりコスト高になります。目安ですが、1,000枚を超えるようならオフセット印刷を検討したほうがいいかもしれません。

ポスターの保存状態をよくするための加工方法

もし作製したポスターの出来が素晴らしく、告知の用途としての役目を終えても「芸術品」や「記念品」として保存しておきたい場合、ポスターを加工しておくとよいでしょう。

ポスター加工で一般的なのが、ラミネート加工です。ホームセンターや文具用品店でもラミネート加工の機械は売っていますが、大半はA4サイズまでしか加工できず、せいぜいA3までだと思います。
しかし印刷会社のなかには、ポスターサイズの巨大印刷物のラミネート加工を手掛けているところもあります。

ラミネート加工は、紙のポスターの表裏にラミネートフィルムを貼り、紙を完全に外気からシャットアウトします。これにより、耐候性と耐水性が増します。また最近は紫外線(UV)カットのラミネートフィルムも開発されていて、日光による日焼け防止もできます。

ポスターの保存状態をさらに高めるには、紙質にもこだわったほうがいいでしょう。
ポリプロピレンという合成紙を使ってポスターをつくると、ポスター自体に耐候性、耐水性、耐久性を持たせることができます。合成紙にラミネート加工をすれば「鬼に金棒」です。
「合成紙+ラミネート加工」は、店内に飾る巨大ポスターを1点ものとしてつくるときなどに適しているでしょう。

ポスター印刷の注文方法は?

ポスター印刷の注文方法は、大きく分けて2つあります。
それぞれメリットとデメリットがあり、コストも違ってくるので、もし継続的に印刷する機会があるのであれば慎重に検討してください。

ひとつ目は印刷会社の営業マンに依頼する注文方法です。

これは
・「万枚」単位の大量印刷
・紙質や写真の再現性にこだわった高級ポスターづくり
・加工が必要な場合
に向いています。

営業マンとしっかり打ち合わせをして、価格交渉もしたほうがいいでしょう。大量に印刷するのであれば、複数の印刷会社に相見積もりをして発注先を選びましょう。

もしそれほどのこだわりがなく「標準的なクオリティが維持できていればよい」のであれば、ネット注文が便利です。
ポスターをデザインしたイラストレーターやフォトショップ、PDFのデータをネット印刷会社に送信し、クレジットカードで決済すれば、宅配便でポスターの完成品が会社や自宅に届きます。

ネット注文の場合、ネット印刷会社の営業マンと会話する必要はありません。メールでのやりとりも要らないくらい、ネット注文システムが充実しています。

顧客が想定する大抵の「お願いしたいこと」は注文システムのメニューにあって、それを選択するだけです。
またネット注文は料金体系が明瞭なので迷うことはありません。サイトで用紙の種類、サイズ、印刷枚数、納期などを入力すると自動的に見積もりが算出されるので、すぐに注文できます。

1枚や2枚といった少量でもポスターを注文できるのか

お店や展示会のブースに貼るポスターなど、そんなにたくさんの枚数が必要ないものは多いです。1枚だけでも外注できるかと心配されている方はいらっしゃいます。
ネット印刷会社では、1枚や2枚といった最小枚数でも、ポスター印刷を受け付けてくれます。
実はこの少量ロットで発注できる点が、ネット印刷の売りのひとつになっています。いわゆる「長いお付き合いのある印刷会社さん」の場合、毎回1枚2枚の発注をすることは気が引けると思います。
しかしネット印刷会社への注文は、サイトに必要事項を記入するだけなので、1枚でも気兼ねする必要はありません。

パワーポイントでも作れる!
ポスターのデザインと入稿の方法

学会のブースや小さな発表会など、少人数の来場者の前で研究成果や製品のプレゼンをする場合、ポスターを作製しておくと訴求力が高まります。
そのようなポスターは、資料としてつくったパワーポイントと同じものにしたいことがあると思います。
パワーポイントの画像をまったく同じものをポスターにすることは可能です。しかも印刷会社によっては、パワーポイントのデータを送信(入稿)するだけでポスターに加工してくれるところもあります。

たとえば、パワーポイントで10枚のスライドを作成したら、10枚のA1サイズのポスターにすることができるのです。
また、10枚のスライドを1枚のA1サイズ・ポスターに載せてしまうこともできます。

思い通りの発色のポスターを作る方法

何度かポスターをつくったことがある人なら、完成したポスターの発色具合がイメージしていたものと異なり、がっかりした経験があるのではないでしょうか。

モデルや生鮮野菜、自然の風景などを使った「写真見せ」のポスターの場合、印刷前に何度も色調整をしても100%完璧な色を出すことは困難です。

そのような悩みを持っている方は、次にポスターを作製するときに「半光沢紙」を使ってみてはいかがでしょうか。

一般的な光沢紙は、解像度が低い写真でも奥ゆきのある画像を再現できるメリットがあります。しかし光沢紙でつくったポスターを光が多い場所に掲示すると、反射が生じて見づらくなる欠点があります。

そこで光沢をあえて抑えた半光沢紙が誕生しました。半光沢紙は光沢が少ないのですが、光の加減によっては光沢紙より「よく見える」ことがあります。

短納期でポスターを用意したい!
印刷にかかる一般的な日数は?

ネット印刷会社やオンデマンド印刷の登場により、「納期がかかる」と考えられてきたポスター作製も短納期で納品してもらえるようになってきました。

印刷会社によっては、ポスターのデザイン・データを午前10時に入稿すれば、その日の18時には印刷を終え、宅配便で発送します。そのため、印刷会社の近くであれば翌日、遠方でも翌々日には会社や自宅に届きます。

つまりポスターの最短納期は30時間程度となります。最短納期が無理でも、土日祝日をはさまなければ、データ送信から2日半(60時間)でポスターの完成品を受け取ることができるかもしれません。

もし60時間以内に完成品が必要な場合、ネット印刷会社に注文する場合でも電話で確認しておいたほうがいいでしょう。

また、一般的に短い納期で発注しようとすると価格が高くなってしまうので、注意しましょう。あらかじめ余裕を持ったスケジュールで制作しておけば、コストを抑えることができます。

ポスター印刷の金額の相場は?

ポスター印刷の金額は、印刷会社によってまちまちです。気をつけたいのは、ネット広告で「激安」「最安」をうたっていても、紙の大きさや必要なクオリティ、納期などの要望を少し加えただけで値段が上がってしまうことです。けた外れに安い価格を提示している会社は注意する必要があります。

そこで、ポスター印刷の金額の相場として、実績がある「ラクスル」の料金を紹介します。
(ポスターを100部印刷したときの1枚単価)

A1:159円
A2:62円
A3:49円
B1:396円
B2:127円
B3:74円

(1枚だけの単価)
A0:3,590円
B0:5,530円

上記の料金は、一般的な光沢紙(厚さ135㎏)を使い、100部印刷し、納期を4営業日に設定したときの1枚単価です。

紙の厚さの基準は、1枚の紙の厚さ(ミリメートル)ではなく、「その紙を1,000枚(1連)積んだときの重さ(kg)」で表します。kgの数字が大きいほど、紙が厚くなるわけです。

ラクスルの場合、発注枚数が多くなり、さらに納期を長くすると、単価が急激に下がります。たとえばA1ポスターは上記の条件では1枚159円でしたが、これを10,000枚発注して納期を5営業日に設定すると、1枚16.3円にまで下がります。

まとまった数量を長めの納期で発注するのが安くするためのコツです。

ポスターを印刷するときにオススメな印刷会社

少数のポスター印刷を発注するならネット印刷のサービスが便利です。印刷したいデータさえ用意しておけば、インターネットですぐに注文できるので、手間がかかりません。

ここでは、ネット印刷大手の「ラクスル」を紹介します。
こちらのURLから簡単に注文できます。
https://raksul.com/poster/

これまで紹介した「さまざまなタイプのポスター」に対応しています。

そしてラクスルは料金設定が細かく、無駄なコストを省くことができます。
たとえばA1サイズのポスターの料金だけでも、これだけ詳細に設定しているのです。

ポスターのネット印刷は、品質が高く料金が安いところを選んでください。
ここでは例としてラクスルを紹介しましたが、複数のネット印刷のサービスで価格を比較すると、コストを抑えることができるでしょう。



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大企業、中小企業問わず、実店舗ビジネス、ネットビジネスのアドバイスを行なう経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。特にキャッチコピーによる販促戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。
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