「肌触りがずば抜けていいんですよ」
そう言いながら西川リビングの社員から手渡されたのは新商品のシルクの毛布。触ってみると今まで触ってきた毛布とはまったくの別物。サラッとした感触でありながら滑らかな肌触り。頬や手の甲で触れてみると、きめ細やかな生地の感覚はすぐに伝わってくる。 実はこのずば抜けた肌触りのシルクの毛布、大阪の泉大津市で作られている。しかも国内で高品質のシルク毛布を作れるのは泉大津にあるその工場だけ。驚くほどの手間と時間をかけてひとつひとつ丁寧に職人が作っているという。その話を聞いて俄然興味を持った私は、泉大津市にあるシルク毛布の工場を見学しに行くことにした。
訪れたのは南海電鉄の泉大津駅からタクシーで5分ほど走ったところにある株式会社瀧芳。泉大津駅周辺は繊維業が古くから栄えており、国内産毛布の生産量であれば90%を占める。その中で瀧芳は昭和41年に毛布の加工業者として創業した老舗の繊維業社だ。
「外国産の毛布に押されてしまっているところがありますが、品質では国内産のほうがまだまだレベルが高いですね。特に高品質のシルク毛布の要望は年々増えています」
そう話す瀧谷社長。
一時期は毛布の生産が減少して大変な時期もあったそうだが、高級シルクの生産にシフトすることで売上を持ち直した。
「安いシルク毛布を作ってくれという要望が増えた時期もありました。でも、そんな安い商品を作っていても、作っている僕らはちっとも面白くないんです(笑)。だから、本当に良い原材料だけで、本当に良いシルク毛布しか作らないことにしたんです」
そんな職人気質の瀧谷社長の方針もあって、瀧芳ではシルク毛布に関しては本当に品質の良いシルク毛布しか生産しないことにした。結果的に「瀧芳のシルク毛布はずば抜けて品質が良い」という評判が寝具業界で広まるようになり、瀧芳は国内生産のシルク毛布で不動の地位を築くことになったのである。
高品質のシルク毛布を瀧芳が作れるのには理由がある。京都の糸商から厳選した生糸を仕入れ、生地に毛布のふわっとした触り心地を出すために「起毛」という作業をかける。言葉で説明するのは難しいが、表面がザラザラしたヤスリのようなものを使って生地をこすり“毛羽立たせる”といえばイメージできるだろうか。その専用機械を使い生地を毛羽立たせる作業を、シルク毛布はなんと50回以上繰り返すのである。
さらに表面を均一に整える“シャーリング”という作業を4回ほど繰り返し、タンブラー乾燥機で繊維に膨らみを持たせて独自のふわっとした仕上がり感を持たせる。実際に工場で製造工程を見学させてもらったが、ほとんどの作業行程は職人による手作業だった。正直、これだけ機械化が進んだ日本で、これだけ手間と時間をかけてシルク毛布を作っているとは想像もしていなかった。
「シルクのデータを入力して、生地を自動的に起毛させる便利な機械もあるんです。ですが、そのような機械を使ってシルク毛布を作ってしまうと、作業が均一化されてしまって質の良いシルク毛布を作ることができない。ナイロン制の毛布と違って、シルクは天然素材ですからね。毎回、仕入れてくる素材は微妙に違うし、生地の質感や感触による違いは人間じゃなければ判断ができないんです。特に日本の場合は季節によって気温も湿度も違うので、生地の微妙な違いはデータだけでは割り出すことはできません」
瀧谷社長の話を聞くと、AIがどんなに進化しようが、シルク毛布は人間の手が永遠にかかり続ける商品であることを実感する。
手間ひまかけて完成したシルク毛布が、他の毛布に比べて触り心地がずば抜けてよいのにも理由がある。
「シルクは蚕から作ったタンパク質を含んだ動物繊維なんです。だから人間の肌により近い。『シルクはお肌に良い』と言われるのも、実は繊維そのものが尖っている形状をしているために、同じタンパク質であるシルクと肌が触れあうことで、美肌効果が高められると言われているんです」
シルク毛布が女性に人気がある理由にも納得。この毛布をかけて眠りにつけば、身体全体が繭に包まれたような気持ちになり、深い眠りに落ちていくのにも時間がかからないはずだ。
瀧芳の職人が作ったシルク毛布は、現在、大阪西川チェーンの寝具店にて取扱中(もしかしたら在庫がない場合もあるので要事前問い合わせ)。 下記のページに掲載している寝具店に行けば、瀧芳のシルク毛布を体感できるので、お近くの人はぜひ足を運んで最強のシルク毛布を体験してみてくださいね!
■大阪西川チェーンの店舗紹介ページはコチラ
http://www.nishikawa-living.co.jp/information/shop_info/