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仕事に「楽しさ」を求める社長の会社は、なぜ潰れるのか?

こんにちは!
いろはの竹内です。

先日、知人のコンサルティング会社からの依頼で、
ビジネスモデルの相談に乗って欲しいということで、
ある会社の社長さんのところに、個人面談に行ってきたんですね。

で、直接話を聞いてみて、ビジネスモデルに関しては、
「こりゃ、行けるんじゃないか」っていう、
かなり期待できるものだったんですね。

だから、結構、前のめりになって、
私も相談に乗っていたんです。

でも、途中から、やや競合が多いことがわかり、
ある程度の広告費を投資しないと、
お客さんが取れないビジネスモデルだということが判明して、

「もう少し、戦略を変えないと競合には勝てませんよ」

って、アドバイスをしたんです。
すると、相手の経営者は、表情を一変させて、こう反論してきたんです。

「商売って、勝ち負けじゃないと思うんですよね」

・・・よくわかんないところに噛み付いてきたなぁと思いつつ、
さらに私は反論をしました。

「勝ち負けにこだわらないと、儲かりませんよ!」

そう言うと、
相手はやや半笑いで、しかも少し私のことを見下したような表情で、
こんな風に言い返してきました。

「アナタさぁ、勝つとか、儲かるとか、そんなことばっかり言ってて、楽しい?」

「・・・・・・」

ちょっとシリアスなお話になっていくんですが、
これは商売に携わる人、みんなに理解してもらいたいことなので、
今回は、気合を入れて書かせていただきます!

あなたは「楽しさ」を仕事に求めていますか?
それとも「勝ち負け」を仕事に求めていますか?

そんなこと分かってるよ

商売というのは、とっても複雑なものなので、
「勝つ」ことだけにこだわっても成功はしませんし、
「儲かる」ことだけを追求しても、
実は成功しないっていう、難しいもんだったりします。

会社のポリシーや、従業員の育て方、
社会性や、スタッフのモチベーションアップなど、
「勝つ」や「儲かる」ということ意外の、
“スピリッツ”の部分にも力を入れなければ、
やっぱり、商売というのはうまくいかないものなんです。

しかし、ですよ。

残念ながら、そのような「スピリッツ」なことにこだわった企業というのは、
得てして、競合に叩き潰されてしまうケースのほうが多いです。

「自分や従業員が、働いて“楽しい”と思える会社にしたいんです」

「20年、30年先も、生き残れる企業を作りたいんです」

「お客さんと従業員が『幸せ』を感じてくれるサービスを提供したいんです」

このような立派な「スピリッツ」を掲げた企業というのは、
多くのパターンで、スピリッツのない、白状で企業理念もないような、
どうしようもない会社に負けてしまうことのほうが多いんですね。

つまり、「勝つ」と「儲かる」ことだけにこだわった人たちに、
いつも負けてしまうのが、
このような「スピリッツ」を大切にした人達ばかりなんです。

普通、これがドラマや映画だったら、
感動的なスピリッツを掲げた会社が、資金力だけにモノを言わせた、
悪徳会社に勝つのがお決まりのストーリーなんですけどね。

でも、現実は、そんなに甘くないんです。

やっぱり、他人のことも省みずに、金を投資して、
「儲かる」までの最短距離を突き進む“金の亡者”に、
パワーでもスピードでも、“いい人の会社”“素晴らしい人の会社”というのは、
負けてしまうのが常なんです。

だって、彼らは、儲かることしか考えていませんから。
余計なことを一切しないんだから、勝つに決まっていますよ。

しかし、だからこそ、私は思うんです。

より一層、多くの人に、
商売に「勝つ」ことや「儲かること」に、
もっともっと、こだわって欲しいって。

だって、イヤじゃないですか。

ポリシーもない、スピリッツもない、
お客さんのことも何も考えないような、
どうしようもない会社の経営者に、自分の市場がグチャグチャに荒らされるのは。

「スピリッツ」を貫きとおして、
従業員を幸せにして、お客さんも幸せにして、
10年、20年も先に生き残る会社を作りたいと本気で思っているのであれば、

儲かることしか考えていない“金の亡者”のような会社に勝てるだけの、
「儲かること」に対しての貪欲さを身につけていなくては、
その市場で戦うことすら、できないんです。

冒頭で、私に対してお客さんの言った、

「勝つとか、儲かるとか、そんなことばっかり言ってて、楽しい?」

という質問に対しては、
正直、答えがすぐに出てきませんでした。

なぜならば、私自身、仕事に「楽しい」という基準値を設けていないからです。

「楽しい」という基準値を仕事に設けてしまうと、
必ず人は「やりたいこと」と「できること」しかしなくなります。

そうなると、「苦手なこと」「イヤなこと」には目を向けなくなり、
結果的に、そのウィークポイントを、
競合に突かれて、負けのビジネスモデルを展開するようになってしまうんです。

結局のところ、
仕事に「楽しい」とか「やりがい」とかの
スピリッツをすぐに持ち込む経営者というのは、

現実の厳しい競争社会から、逃げているだけなんだと思います。
(コンサルタントも、スピリッツの話しかしなくなったら、オシマイなんですけどね)

「楽しい」とか「やりがい」の上に商売が成り立っているのではなく、
「商売で儲かること」の上に、「楽しい」と「やりがい」が乗っかっているんですからね。

ここをトコトン突き詰めていかないと、いずれは、自分の「やりたいこと」を、
捻じ曲げるような会社を作る結果になってしまいます。

いいですか?

あなたの会社の「存在意義」は、経営に携わるアナタが決めることではありません。
周囲の競合の会社との競争の勝ち負けと、
儲けの度合いによって、お客さんが判断していくものなんです。

そこで勝ち残った企業だけが評価されて、
儲かる会社だけが、お客さんに有益なサービスを提供できるという現実は、
やはり競争社会では、致し方ないことなんです。

「私の会社を選んでくれるお客さんだけを相手にすればいい」

なんて、理想論だけを掲げている会社では、
残念ながら、商売は成立しません。

なぜならば、そのような「選んでもらえる環境」の中に、
競合の会社はズカズカと参入してきて、
あなたの大切なお客さんを強引に奪いにきてしまうから、
そこには何も残らないんです。

だから、本気になって
市場の全てのお客さんを取りに行かなくてはいけないし、
競合に対しては、全力で潰しに行かなくてはいけません。

物騒な話ですが、
そこまでする覚悟がない経営者に、会社を経営する資格はありません。

そんな理想論だけ掲げる経営者は、“自分がかわいい”だけであって、
お客さんも従業員も大事に思っている人ではありませんから。

「スピリッツ」か「儲け」か二者択一するのではなく、
両方とも取りに行く貪欲さがなきゃ、
それこそ、仕事は“楽しくない”ですよ。

■タケウチ商売繁盛研究会 2月生募集
https://e-iroha.com/kenkyukai/index.html

編集後記

結局、
「勝つとか、儲かるとか、そんなことばっかり言ってて、楽しい?」

って、おっしゃってくれた社長さんとは、
その場で即コンサルティングを終了して、
話を打ち切りにして、帰らしていただきました。

だって、「勝つ」と「儲かる」ということを否定したら、
私の存在意義そのものがなくなっちゃいますからね(笑)

そもそも、なんのためにその会社にコンサルティングに行ったのか、
そのことの意味すらわかんなくなっちゃいますよ。
(褒めてもらいたかったのかな?)

でも、ひとつだけ言えることは、
どんな職業に対しても「楽しい?」なんて聞いちゃいけないってことです。

その発言は、その人の人生も、仕事も、全て否定することになりますから、
この言葉ほど、相手を侮辱した発言はないと思います。

それに「経営コンサルタント」なんて仕事は、
「勝つ」と「儲かる」を取ってしまったら、
本当に何にも残らないという、悲しい職業なんです。
その社長さんの言っていた言葉は、決して間違っていはいません。

だけど、そのことを人一倍、自分自身が理解しているからこそ、
今回、相手に言われた発言は、すごいショックでもあったし、
逆に、「勝つ」と「儲かる」こと“以外”を一番大切にするためには、
「勝つ」と「儲かる」にこだわらなければならないという

私のコンサルタントとしての「スピリッツ」を
再確認するいい機会にもなりました。

それに「勝つ」と「儲かる」ことにこだわるのは楽しくないですけど、
お客さんが売上が伸びて喜ぶ姿を見るのは、やっぱり楽しいですからね。

世の中の職業というのは、
「仕事」が楽しいのではなく、
「結果」が楽しいもんなんですよ。

■タケウチ商売繁盛研究会 2月生募集
https://e-iroha.com/kenkyukai/index.html

 

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楽天市場等のネットビジネスで
多くの受賞履歴
あり。

大企業、中小企業問わず、実店舗ビジネス、ネットビジネスのアドバイスを行なう経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。特にキャッチコピーによる販促戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。
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