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「アクセス数×転換率×客単価=ネットショップ売上」の大ウソ

こんにちは!
いろはの竹内です!

さて、今日のメルマガは読んでもらう前に、
ひとつ断っておきますが、

ちょっと長くなります。

でも、ネットビジネスに関わる人にとったら、
非常に知っておかなくてはいけない情報になりそうだったので、
少し気合を入れて書かせていただきました。

また、ネットビジネスに関わらない人でも、
今日の話は、商売をやっていく上で、
とても参考になる話になると思います。

ええ、たまには、冒頭から真面目な話でもさせて下さい。
というわけで、今回のメルマガのネタは、

「アクセス数×転換率×客単価」

についての話です。

ちょっと複雑な話ですけど、最後までしっかりついてきてくださいね!

あなたの店がライバルに勝てない理由

さて、ネットショップ運営を、
ちょっとでもカジったことのある人であれば、
必ず、次のような公式は頭の中に入っていると思います。

「アクセス数×転換率×客単価=ネットショップ売上」

つまり、「アクセス数」を増やして、
ページの接客力である「転換率」を上げて、
「客単価」を上げれば、ネットショップの売上は上がるという方程式です。

だから、みなさん、張り切ってアクセス数をあげるために、
広告費を投資したり、転換率をあげるためにページをリニューアルしたり、
客単価をあげるために、新商品を投入したり、
常に、この公式が頭の中に入っているから、
自分のやらなくてはいけない作業に対して、頑張れるわけですね。

でも、ですよ。

実際にこの公式に自分のお店のデータを当てはめて、
売上を伸ばした経験がある人って、どのくらいいますか?

「うぉー、転換率が上がったから、売上が伸びたぞー」
「アクセス数が増えたから、売上が比例して伸びました!」
「ライバル店の客単価に近づいたから、売上を抜いたぞ!」

てな感じで、実際にこの数式に自分のネットショップを当てはめて、
“実感”で売上を伸ばした体験のある人って、
本当は少ないんじゃないかと、最近思い始めたんですね。

もちろん、中には、こういう貴重な成功経験をされている人がいるかもしれません。
ただ、これも詳しく話を聞いてみると、

「気がついたら、売上が伸びていた」

というのが現実であって、
この「アクセス数×転換率×客単価」という公式に当てはめながら、
店舗運営を心がけた結果の表れではないのが、
実は現実だったりするわけです。

もう少し、整理してお話させていただきますが・・・。

つまり、ですね。

この「アクセス数×転換率×客単価」という公式はですね、
ネットショップ運営では、まったく役に立たないんじゃないかって、
ちょっと仮設を立ててみたんですね(あー、また業界で敵が増える~)。

例えば、凄い分かりやすくするために、
この公式を簡単な数値に置き換えてみます。
で、A店とB店の2店舗があったとします。

●A店舗
アクセス数 3.0
転換率   3.0
客単価   3.0

●B店舗
アクセス数 3.2
転換率   3.1
客単価   3.1

このように、
A店とB店では、本当に微妙な、
コンマいくつの差しか数値に違いがなかったとします。

でも、この両店舗の数値を、さっきの
ネットショップの売上公式に当てはめて、比較してみると、ですね。

●A店
3×3×3=27

●B店
3.2×3.1×3.1=30.752

こんな感じで、ほんのコンマ0.1ぐらいの数値の違いが、
売上ベースだと、「27:30」ぐらいの、
大きな差に広がっちゃうわけです。

つまり、ひとつの数値は「誤差」のようなものかもしれないけれど、
複雑に数値が「掛け算」で絡み合ってしまうことによって、
結果として予測不可能な“変数”になってしまうことが、
この公式には、非常に多くなってしまうわけです。

こういう「変数」のマジックがあるために、

「あれ? 競合店舗と転換率がほとんど同じで、
ページも商材も似ているのに、売上が全然違うぞ」

という現象が起きてしまうわけです。

しかも、この「アクセス数×転換率×客単価」という公式は、
ネットショップのトップページだけで起きていることではなく、
ネットショップの全商品、各ページで発生していることなので、
もっともっと状況は複雑になります。

つまり、この公式は、商品ページがある分だけ発生していきますから、

(アクセス数×転換率×客単価)+(アクセス数×転換率×客単価)+・・・・

って感じで、物凄い複雑な数値に膨れ上がっていくんですね。

だから、コンマ0.000いくつの数値でも、
これが、いくつも、いくつも絡んできて、
さらに、これにメルマガや広告、予測不能な検索エンジンからの集客で、
お客さんの質やタイミングも変わってきますので、
複雑に数値では予測できない“変数”にしかならないんです。

だから、ハッキリ言って、
まったく予測不能の“変数”しか出てこない公式だったら、
マーケティングをする上では、
ほとんど役に立たないことになってしまうんです。

だって、「数値」が出てくるから目標になるかもしれませんが、
「x」とか「y」しか出てこない「変数」を求める公式だったら、
利用しても意味ないじゃないですか。

転換率がちょっと変わっただけで、大きく売上は変わる可能性もあるし、
反対に、アクセス数が急激に増えたとしても、
転換率や客単価の微妙な数値が、いわゆる「掛け算」で絡んできてしまえば、
出てくる売上の数値は、まったく予想に反した数値になってしまうから、
売上には反映されないことだって多々あるわけです。

例えば、こんな経験、みなさんにもあるんじゃないですか?

「広告費を突っ込んで、アクセス数が伸びたのに売上が伸びない」
「商品の料金をちょっと値上げしただけなのに、極端に売上が落ちた」

これらの全ては、この「変数」によって起きる、
予測不能に近い出来事だったりするわけなんですね。

ここまで、理解していただきましたか?

要は「転換率」や「アクセス数」「客単価」で
単純なマーケティングはするなっていうことです。

「転換率がライバル店と同じだから、あとはアクセス数を増やすだけだ」
「客単価を倍にすれば、売上が倍になる」
「メールアドレスを増やせば、売上も増える」

こんな単純な戦略で、ネットの世界、強いては客商売の世界は、
動いちゃいないんですね。

まして、
「売上100万円を目指すなら、どのくらいのアクセス数があればいいですか?」

などという質問は、
どう頑張ったって、はじき出せる数字ではないわけです。
(まぁ、仕事上、コンサルタントなんで言いますけどね。仕事ですし)

だから、あくまで「アクセス数×転換率×客単価」という公式は、
“目安”であって、“目標”にはしてはいけないってことです。

「最近、アクセス数が落ちてきたなぁ」
「転換率、ちっとよくねぇな」
「客単価、上がったらいいよね」

せいぜい、この程度の感覚で十分ですよ。
だって、あまりにも数字が複雑に絡みすぎてしまって、
自分たちの手を加えたことで、どうにかできる数字ではないですからね。

そして!

ここからが、今日の本題なんですが・・・。

この「当てにならない変数」によって、
ネットショップの売上が左右されている以上、
ネットショップ運営は、常に

「100%完璧」で取り組まなくてはいけないことになります。

ページ、写真、メルマガ、販促、キャッチコピー、広告費、
全てのコンテンツが、どこの数値に影響を及ぼしているか分からない以上、
常に、「100%完璧」を目指したページを用意しないと、
売上には直接的な影響を及ぼさないわけです。

少しでも、手を抜いたページなんか作ったり、
少しでも、他社に勝てない商品だったり、
少しでも、競合店より広告費が少なかったりすると、
それだけで、複雑な変数が発生して、
売上数値が読めなくなってしまうのが、ネットショップの世界なんです。

だから、僕の場合、
アドバイスが少し“重い”ものになってしまうことが多々あるんですね。
どうしても100%を目指してしまう、
実践的なヘビーなアドバイスが多いものですから・・・。

さらに!

この変数の世界に影響されるネットビジネスの世界は、
「先駆者利益」が大きく売上を左右することも意味します。
例えば、まったく同じ商材、同じページ、同じ広告費で、

ネットショップ3年目の店舗と、
ネットショップ5年目の店舗を比較した場合、
両者には2年のブランク、つまり「差」があるわけなんですね。

そして、この「2年」という差の中にも、
「アクセス数×転換率×客単価」
という公式が、「365日×2年間」分絡み合ってくるわけですから、

その数値は、当然、今現時点の売上にも積み重なっていくわけです。

だから、ネットショップ3年目の店舗が、
5年目の店舗に勝つためには、
「同じ」だけの仕事量ではまったくダメであって、
その何倍も努力して、価格や広告費で連戦連勝していかないと、

シェアを逆転することは、ほぼ不可能に近いことなんです。
なぜならば、3年目のネットショップが、
2年のブランクを埋めるために頑張っている間に、
さらに、5年目の店舗は“先”に進んでいきますからね。

例えるのなら、
同じクルマに乗って、同じコースを、同じ速度で走っているようなものです。

相手のクルマが速度を緩めることがあれば、
もしかしたら追い抜くことができるかもしれませんが、
まず、それは商売の世界ではあり得ません。

相手も、必至こいて逃げていますから(笑)

だから、ネットショップ運営の世界では、
「後追い」
ほど、勝負にならないことはないんです。

もっと言ってしまえば、ライバルが先にいる業界に飛び込んだ時点で、
ネットショップ運営はゲームオーバー的なところがあるので、
商材を変えるか、コンセプトを見直して、
新しい先駆者利益のマーケットを開拓するかして、
「先行逃げ切り」のビジネスモデルを作った方が、
よっぽど「勝ち」を取りに行きやすいんです。

仮にですよ。

皆さんの身の回りで「後追い」で勝てたネットショップがあったとしても、
それは、先に走っているネットショップと微妙にマーケットを変えていたり、
広告費や価格で圧倒的な“加速”をかけて追いついていたり、
経営者がバカで赤字覚悟で会社を運営していたり、

そういう「イレギュラー」な事態が起きない限り、
ネットショップで「後追い」が勝てることは、ほとんどないのが現状だと思います。

いいですか?

販促エリアが限られて、スタッフとのコミュニケーション力で、
売上が大きく左右する「実店舗」ビジネスの場合は、
「後追い」でも、十分市場を逆転することはできますが、
変数に振り回されやすいネットビジネスの場合は、
そこらへんの「後追い」が、非常に不利な条件になりやすいと言えます。

だから、ネットショップの世界は、
「老舗」が強いケースが多いんですよね。

楽天市場で「ショップオブザイヤー」の受賞店舗が、
毎年、あんまり代わり映えしないで、
「○年連続受賞」が多い理由は、
この変数の理論の表れだと思いますよ。

このような事情も含めて、そろそろ結論ですが・・・。

これからネットショップの売上を伸ばしたいお店は、
ビジネスモデルの見直しをしっかり基礎からやらないと、
この厳しいネット市場では絶対に勝てませんし、

「100%完璧」を目指すのであれば、
細かい戦略やページ構成なんかも、
もっともっとしっかりと見直していかなくてはいけません。

転換率や、アクセス数、客単価の数字を眺めているだけではダメですよ!
もっともっと、根本のところから見直さないと!

そして、もっともっと「100%」をストイックに目指さないと!

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楽天市場等のネットビジネスで
多くの受賞履歴
あり。

大企業、中小企業問わず、実店舗ビジネス、ネットビジネスのアドバイスを行なう経営コンサルタント。有限会社いろは代表取締役。大学卒業後、雑誌編集者を経て観光牧場の企画広報に携わる。楽天市場等で数多くの優秀賞を受賞。現在は雑誌や新聞に連載を持つ傍ら、全国の商工会議所や企業等でセミナー活動を行い、「タケウチ商売繁盛研究会」の主宰として、多くの経営者や起業家に対して低料金の会員制コンサルティング事業を積極的に行っている。特にキャッチコピーによる販促戦略、ネットビジネスのコンサルティングには、多くの実績を持つ。著書に『売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方』(日本経済新聞社)、『御社のホームページがダメな理由』(中経出版)、「会計天国」(PHP研究所)ほか、多数。
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