初心者のための災害ボランティアマニュアル

 私が初めて災害ボランティアに参加したのは東日本大震災の時です。気仙沼市の大島に2日間ボランティアに行って「こういう活動は好きかも」と気づき、それ以来、栃木県鹿沼市の水害ボランティア、熊本県の震災ボランティア、大阪府茨木市の震災ボランティアと、時間の許す限り、ボランティア活動をさせてもらっています。

東日本大震災のボランティアにて

 

 

 

 

 

 

 今回、ご存じの通り中国中部エリアで大きな水害が発生しており、状況的にボランティアの募集がそろそろ始まるのではないかと思います。なので、少しでも現地にボランティアに行ってみようという人を増やしたいという思いもありまして、私の乏しい経験ではありますが「素人が初めて災害ボランティアに行った際の注意点」的なお話をつらつらと書かせて頂ければと思います。これを読んで少しでも「俺も被災地にボランティアに行ってみようかな」という人が増えてくれれば嬉しい限りです。

■災害ボランティアの動機作り
 まず、多くの人が「ボランティアは正義感が強くなければ行ってはいけないんじゃないか」と思われているかもしれませんが、正直、動機はあやふやなものでいいと私は思っています。過去に被災地に行った際にいろいろな人にお会いしましたが、「人助けをしたい」という人が大半ではある中で、「興味本位」「なんとなく来ちゃった」「俺って被災地に来て凄いだろって自慢したい」という人も結構多かったりします。私自身も最初の頃は「そんな軽い気持ちで被災地に行ってはいけない」という思いもありましたが、それ以上に現場では人が足りない状況だったりしますので、理由はどうであれ、「行ってみたい」という気持ちがあれば、ボランティアには気軽に参加していいと思っております。
 あと、「自分は被災地にボランティアに行って役に立たないのではないか」と心配になっている人もいると思いますが、その点はご安心していただければと思います。ボランティアの仕事は素人でもカンタンにできるものがほとんどで、特別なスキルは一切必要ありません。女性でも参加できますので、その点は気負いせずに参加していただければと思います。また、「一人で行って寂しい思いはしないのか?」という点に関しても、多くの人が単独で来ていますし、すぐに友達みたいな人はできますので、心配する必要はありませんのでご安心ください。

■災害ボランティアのメリット
 災害ボランティアに参加して良いことは、仕事以外の面で人様のお役に立てることです。仕事では得られない喜びや充実感があり、デスクワークばかりしている私みたいな仕事の人は、体を動かして人から感謝されることがありませんので、そういう意味ではとても新鮮な感動が得られたりします。また、肩書も年収も一切関係なく、すべてがフラットな状況の中で一兵卒で働くのは、ややマゾっ気がある経営者にはたまらないシチュエーションと言えるのかもしれません。
 もちろん、そんな気持ちは自己満足でしかなく、被災地でお手伝いしたからといって、被災された方全員が喜んでくれるのかといえば、そんなことはなかったりします。一兵卒で働くわけですからプライドもそれなりにズタズタになりますので、いいことばかりではありません。だけど、そのような刹那的な体験もボランティアでしか体験できないことだったりしますので、私自身はそのような人間模様が観られることが、なんとなく被災地に行く原動力になっていたりします。

 あとは、非日常の体験ができることでしょうか。見ず知らずの人と見ず知らずの場所に行き、そこでチームを組んで災害を支援するというのは、刺激がたくさんあって学びも多くあったりします。また、災害現場は常にイレギュラーなことが発生して、それに対して初めて組んだチームで連携を取ってひとつの仕事を成し遂げなくてはいけませんから、かなりビジネス的なスキルが求められる現場だったりします。協調性も必要だし、リーダーシップも必要だし、積極的に物事に取り組む姿勢も必要だったりしますので、へたな社員研修に行くよりはよっぽど価値のある経験ができると思います。ちなみに、私の場合は被災地に行くたびに「まだまだ人間的に成長していないな」と反省しながら過ごしています。このような人間的な成長を無償で体験できるのですから、人によっては究極の研修事業になるのかもしれません。

■いつ行くべきか?
 災害が起きてから1週間ぐらいで市町村でボランティアセンターが立ち上がります。被害が大きそうなエリアを調べて「市町村名 ボランティア」で検索すれば、だいたい地域の福祉協議会がヒットします。そこに募集条件や作業内容、集合時間等が書かれていますので、そちらを参考にしながら、参加を検討されたほうがいいと思います。なお、たまにボランティア活動が臨時休業する場合もありますので、事前に活動の有無は電話にて確認したほうがいいと思います。
 一応、念のために何を持っていけばいいのか聞いておくといいと思います。ただ、私の経験上ではありますが、ほとんどの災害ボランティアでは軍手や雨合羽、スコップ、ヘルメット等は準備されていたりします。しかし、被災直後の段階ではそのようなものがそろっていないケースもありますので、今現状でどのようなものが必要なのか、念のために電話にて聞いておいた方がいいと思います。
 あと、エリアによっては県外の人を受け付けていないボランティアセンターもありますので、その点に関してもよく調べたほうがいいと思います。

 すぐにでも駆け付けたい思いがあるかもしれませんが、初めて参加される方は少し時間を置いてから参加されたほうがいいかもしれません。そのほうが体制が整っていて仕事がしっかりできたりしますので、現地について指示待ちで1日が終わってしまうこともないと思います。また、案外、時間が経ってしまったほうが世間から忘れられてしまい人手不足になっているケースもあったりするので、その点も見極めたうえでボランティアに参加されたほうがいいかもしれません。
 あと、当たり前のことかもしれませんが、土日祝祭日よりも平日に参加したほうが充実したボランティア活動できるところがあります。受付だけで半日潰してしまうこともあると聞くので、週末を避けて平日のボランティアに参加されるのも一手です。

熊本地震の日曜日のボランティア受付の風景。長蛇の列でなかなか受付までたどり着けなかった

 

 

 

 

 

 

 なので、もし、このブログを読まれている経営者のみなさんがいらっしゃいましたら「ボランティア休暇」なるものを社員のみなさんに与えてみるのもいいかもしれません。被災地には平日のボランティアが非常に少なく、困っているところをたびたび目撃しているので、その点は社員教育の一環として平日のボランティア休暇を一考していただくのもいいのではないかと思います。
 ちなみに、ボランティアに参加するのは1日でもOKです。なんちゃってボランティア的な感じになるかもしれませんが、それでも平日は人がいませんので、「ちょっとだけでも」という日帰りボランティアも大歓迎ということで、ぜひぜひ参加してもらえればと思います。

■服装
 めちゃくちゃ汚れても良い恰好で行きましょう。私は基本的には布つなぎで行きます。ただ、夏場なのでそこそこ通気性の良いものを着用したほうがいいですし、今回は水害ということもあって泥のかき出し作業など、なかなか過酷な作業が待ち受けていたりします。通気性の悪い雨具を着用して、通気性の悪い床下に入るかもしれないので「短パン半袖」という選択肢も用意しておいたほうがいいかもしれません。
 また、上着や下着の着替えは日帰りだとしても、何枚か持っていったほうがいいと思います。あと、帰りも汚れた格好で電車に乗るわけにはいかないので、小ぎれいな「帰宅の際の恰好」も用意したほうがいいと思います。

 他の持ち物に関しては、先述したようにボランティアセンターに用意されているケースが多いです。自分で用意したほうがいいものは、タオル、飲料水ぐらいでしょうか。食事に関しては事前にコンビニで買っていったほうがいいとは思いますが、夏場なので保管が難しい季節ではありますので、臨機応変に対応したほうがいいとは思います。休憩時間にコンビニに買いに行けたりしますので、食料に関してはそんなに心配することはありません。

■移動手段
 これに関しては現場に行ってみないと何とも言えませんが、経験上、クルマ、バイクで移動したほうがいいとは思います。荷物を積んで移動するのにもクルマがあったほうがいいですし、被災地に人を連れていくのにも自分の車でいったほうが何かとフットワークが良かったりします。特に軽トラは現地で非常に重宝されるので、軽トラやトラックを所有されている方は、そのようなクルマで現地に行かれたほうがいいとは思います。もちろん、電車やバス、徒歩で行かれるのも大歓迎です。誰かが必ず被災地に連れて行ってくれますので、困ることはありません。ちなみに、私が過去に被災地に行って一番便利だったのはバイク、その次にクルマ、最後が電車での移動でした。やっぱりフットワークの良さでいえばバイクが一番でした(現場にもよりますが)。

■どんな感じの作業の流れになるのか?
 被災地に到着したら、まずボランティアセンターで受付をします。受付開始と同時に行ったほうが仕事が回ってきやすいので、早めに到着されることをお勧めします。その後、災害保険(600円)に入って、しばらく待っていると社会福祉協議会の人から仕事を割り振られます。その際、恥ずかしがらずに積極的に「その仕事やります!」と名乗り出ていくようにしましょう。「初めてだからしゃしゃり出ちゃいけない」と思って遠慮していると、なんだか良く分からない仕事に回される可能性もあります。私の経験上ではありますが、最初に出てきた仕事のほうが、緊急性が高く、人が足りない案件が多いので、やりがいのあるボランティアが多いような気もします。
 そして、参加メンバーでチームを組んで、移動して、被災地での活動となります。おそらく現地で仕切っている人、被災現場で長く陣頭指揮をとっている人がいますので、その人の指示に従って活動するようにしましょう。
 しかし、ごくごくたまになんですが「誰も仕切らない」という現場に出くわすことがあります。基本的にボランティアに足を運ぶ人は「いい人」が多いので、いい人ゆえに「どうぞどうぞ」と譲り合いの精神が生まれてしまって、統率の取れないチームに参加することが多々あります。その場合は遠慮なく自分自身がリーダーシップを発揮して現場を仕切ってください。「あいつ、何様なんだよ」と思われるかもしれませんが、そう思われないようにみんなで仲良く仕事をするのが、ボランティアの現場における醍醐味だったりします。
 あと、余談になるかもしれませんが、それなりにボランティアでも腹の立つことが多いことも覚悟する必要があります。現場で指示を出す社会福祉協議会の人がいい加減な人だったり、ボランティアの現場で陣頭指揮をとる人が、頭が悪くて横柄だったり、社会人としてバリバリと仕事をしている人にとったら「せっかく遠くまで来たのにお前らいったい何なんだよ!」というカオスな状況に陥ることが多々あると思います。
 しかし、基本的に災害ボランティアという現場は、無報酬で人材のセレクトがない中で集められた集団なので、人間同士の軋轢は生まれやすい現場だと思ったほうがいいと思います。言葉は悪いですが、多少、ポンコツな集団になりやすい傾向もありますので、そのようなカオスな状況もひっくるめて、広い心でボランティアに参加して怒りを沈めながら仕事をすることも、またボランティア活動の面白さだったりします。

■ボランティアが終了して
 ボランティアが終了すると、地元の温泉施設を開放しているケースがあったりしますので、そういうところで一汗流されることをお勧めします。あと、慣れない重労働と緊張感でどっと疲れが出たりしますので、十分休んでから帰路につくようにしましょう。特にクルマの長時間運転にはご注意ください。

以上となります。

 今回は主に中国、四国、中部と広範囲にわたって水害が発生しています。今後、どのようにボランティアセンターが立ち上がっていくのか予想がつきませんが、水害の場合、時間が経つと病気や腐敗が進みやすいので、早い対処が求められるのではないかと思います。また、夏場に向けてボランティア活動が厳しくなっていく季節になりますので、その点で暑さ対策に関しては十分な対策をとった活動が求められると思います。

 被害の大きかった広島は関東からだと新幹線でも飛行機でも遠く、行きたくても行けないというのが現状だったりします。なので、おそらく被災地ではボランティア不足になる可能性もありますので、交通の便が比較的良い関西方面の方は「ちょっと行ってみようかな」という気持ちでも構いませんので、ご参加していただければと思います。
 なお、関東方面の方でも広島には成田空港からLCCが飛んでいますので、そちらで飛行機に乗って広島に乗り込めば、交通費も安上がりで済むのではないかと思います。

※春秋航空
https://jp.ch.com/

 
 ちなみに、栃木県鹿沼市で水害のボランティアに参加した際は、家の床下に潜って泥をかきだして、それを床下の狭いところで土嚢に詰めて、リレーで外まで運ぶという作業をやらせていただきました。雨合羽を着用しての作業になるので、そこまでビショビショになることはなかったんですが、やはり泥だらけになることは間違いありません。でも、事前に「どろそろになる作業が待っている」と思えば、そんなにショッキングな作業ではないので、事前に「どのような作業になるのか」というのは、ブログやSNS等で収集しておいた方がいいとは思います。

鹿沼市の水害ボランティア。雨合羽は貸してもらえる。

 

 

 

 

 

 あと、先日、大阪の被災地にボランティアに行った際のことですが、被災した現地の人のボランティアが少ないことで、なかなか大変な状況になっていました。というのも、ボランティアセンターにいる人は他県から派遣された土地勘のないスタッフばかりで、その人達が他県からやってきたボランティアに指示を出している状況のため「どこの地域にどうやって行けばいいのか分からない」という状況に陥っていました。被災した物資を運んだり、回収したりする作業も、土地勘がないと迷子になるばかりで、思うように作業がはかどらなかったりしていましたので、もしかしたら、「県外受け入れ歓迎」のボランティアセンターには、逆に地元のボランティアの方が積極的に参加されたほうがいいのかもしれません。

 ということで、私の少ない経験が少しでも「ボランティアに行ってみようかな」という人が増えることに繋がってもらえれば嬉しく思います。

※役に立つ話かな、と思って頂ければ拡散のほどよろしくお願いします。

このエントリーをはてなブックマークに追加
rss
上矢印
ページTOPへ
モバイルPC