• 竹内謙礼のボカンと売れる講座
  • セミナー
  • 著書
  • ボカンと売れる講座(メルマガ)
  • セミナーを「聴く姿勢」について考える

 セミナーは「話す側」と「聞く側」に大きく分けることができます。その数は1:100ぐらいの比率で、圧倒的に「聞く側」が多く、ほとんどの人は「話す側」気持ちを理解していないのが現状です。そのせいか「話す側の身にもなってくれよ」と言いたいところもあるのですが、これは比率の問題で致し方ないことだと思っています。しかし、「聞く側」の人たちが、少しでも「話す側」の気持ちを理解することができれば、ほんの少しだけですが、セミナーが良質なものになると思います。本日は、そのあたりの話を、ちょこっとだけ語らせてもらえればと思います。

 まず、セミナー中、「話す側」は、びっくりするぐらい「聞く側」の状況を見渡すことができます。「あー、この人、眠たくなっているなー」とか「この人は、話を聞いてないなぁ」というのは、だいたい把握することができます。「きっとバレないだろう」と思ってセミナー中にスマホでゲームをしていたり、パソコンでメモをしているふりして別の仕事をしている人もいますが、残念ながら話す側はそれを見抜いているケースが多いです。もちろん、セミナーに関わる内容をスマホで調べていたり、メモを取ったりしている人もいると思いますが、それとは無関係なことでスマホやパソコンをいじっている人は、聴講中のアクションがまるっきり違うので、すぐに把握することができます。しかも、私のように年間に何十回もセミナーをやっている人間であれば、だいたいその辺の勘は研ぎ澄まされてきます。

 しかし、ここで難しくなるのは、話す側が聞く側に対して、寝ていたり、別の仕事をしたりしているのを、注意することができないという点です。社会人のセミナーは、基本、義務ではありませんし、セミナーによってはお金を参加者が支払っているケースがほとんです。聴講するか、しないかの判断は本人任せになります。つまり、セミナーに参加した以上、そこの席に座る権利はあるわけですから、話す側である講師のほうが「起きて下さい」「私語は謹んで下さい」「スマホをするのは止めて下さい」とは、言いにくいところがあるわけです。まして、いい大人が参加しているわけですから、そんな小学生みたいな注意をすることは、ある意味、その参加者のプライドを大いに傷つけることになります。だから、話す側の人間は、基本、聞く側を注意することが難しいというのが、現状の問題としてあるわけです(まぁ、中には注意する講師もいると思いますが)。

 それに、聞く側の人たちが寝たり、スマホで遊んだりしてしまうのは、話す側にも多いに責任があります。役に立たない話だったり、ネタがおもしろくなかったりすれば、当然、聞く気持ちなんてなくなります。だから、聞く側が聴講する姿勢を放棄した態度をとるということは、話す側に対して「こいつの話、おもしろくない」というアピールでもあるのです。

 で、ここまでの話を聞くと、おそらく聞く側のみなさんは「そんな奴らは、放っておいて話せばいいじゃないか」と思うかもしれません。また、「寝るのもスマホで遊ぶのも俺の勝手だから、おまえは勝手にセミナーやってりゃあいいんだよ」とも思っていると思います。しかし、先述したように、話す側の人間は、参加している人たちが“丸見え”になってしまうのです。だから、どうしても聞く姿勢を放棄した人は、視界の中に入ってしまうんです。目に入れないようにどんなに頑張っても、目についてしまうのです。

 そうなると、話す側はセミナー中に大きなストレスを抱えることになります。これは私だけかもしれませんが、セミナーの最中は、口で言葉を発しながらも頭の中では「次はこれを話そう」と、「頭」と「口」は常に分離させて動かしている状態になっています。そうしなければ、ビジネスセミナーの場合、話しに辻褄があわなくなってしまうことが起きてしまうので、口で発している話している言葉と、頭で考えていることは、実は別々に動かしてトークを展開していたりしています。
 しかし、そんな頭と口をフル回転させている中で、寝ていたり、スマホをいじっていたりする人が視界に入ると、「あれ、この人、なんで話を聞いていないんだろ」「俺の話、そんなにおもしろくないのかなぁ」という思いが頭の中をよぎってしまい、せっかく“次に話そう”と思っていたネタを吹っ飛ばしてしまうことがあるんですね。大げさかもしれませんが、セミナーは舞台やスポーツと同じで、一度始まったら、ストップもやり直しも効かない場なのです。だから、どうしても先々のことを考えながら話しをしたり、パワポを進めたりしなくては、話の流れの悪いセミナーになってしまうんです。

 あと、意外にセミナー中に気になるのが、参加者同士のヒソヒソ話です。もちろん、セミナー中に関わるヒソヒソ話なので、仕事に関することだとは思います。本人たちはコソコソと小さな声で話しているつもりかもしれませんが、実は講師にとったら、かなり大きい声で聞こえてしまいます。あと、話す側からすれば「何を話しているんだろう?」というのが気になってしまうので、そこでも、やはり次に話そうとしていることを吹っ飛ばしてしまうんですね。このように、話す側は思いの外、トークに集中しているので、セミナー中に聞く側にイレギュラーな動きをされてしまうと、頭の中で「ああああああぁ」となってしまって、クラッシュしてしまうのです。

 そうやって集中力が途切れてしまうと、セミナーのネタもだんだん不安定なものになっていきます。しかも、頭の中には「寝てしまうほど、俺の話はクソおもしろくないんだ」という思いがよぎってしまうので、だんだん、自分の話にも自信を持てなくなってしまいます。だから、余計に「話しを聞いてくれよ!」という思いが強くなってしまって、話が脱線しまくって、終わってみれば、セミナーそのものがズタボロの状態になってしまうケースが多々あります。このように、セミナーというのは、数人の聞いていない人のために、真面目に聞いているお客さんにも迷惑がかかってしまう、かなり不安定な状態の中で行われているものなのです。

 正直、話す側から言わせてもらえれば、聞く側に対して「面白くないなら出て行ってくれ」というのが本音です。しかし、先述したように、自主的に参加している人や、お金を払って参加している人に対して、退場を強制することは非常に難しいのが現状です。まして、セミナーの主催者も、せっかく足を運んでくれた人にそんな注意をすることもできませんので、結果的に、セミナーというのは「聞く側」が圧倒的に強い主導権を握った場になってしまうのです。

 だから私は、参加してくれたお客さんに不憫な思いをさせたくないので、全力を出して、話を聞いてもらえるセミナーをするように、いつも心がけています。自分が話したい話しをするのではなく、相手が聞きたい話しをするようにして、できるだけ役に立つ話、ためになる話をするようにしています。もちろん、自分の力不足で、寝てしまう人や、聞くことを放棄してしまう人が出てきてしまうこともあります。また、私の場合、早口でまくしたてるセミナーになってしまうので「聞き取りずらい」ということを、アンケート用紙に書かれることもたびたびあります。だから、私にも聞く側のモチベーションを下げてしまう要因があるのも事実です。だから、話す側は、聞く側に対して、とやかく言う権利はないと思っています。貴重な時間を潰してまで参加してくれているわけですから、どんな姿勢で聴講しようとも、話す側は常に「ありがとうございます」という感謝の気持ちを持って、聞く側に接していかなくてはいけないのです。

 ただ、そうはいっても、やっぱり「聞いていない」という露骨な姿勢は、話す側を大きく傷つける行為だということも、聞く側のみなさんはご理解してもらいたいと思います。つまらなくて、役に立たない話でも、話す側にとったら、みなさんに一生懸命聞いてもらいたいと思って、頑張って何日も前から下準備をしてまとめてきた内容だったりします。レジュメを作るのも大変ですし、印刷して、会場に着くまでの間、電車の中でちゃんと予習もしますし、時間配分も考えて、どういうネタを話せばいいのか、参加者リストを片手に、いろいろ考えて、満を持して行うセミナーです。「みんな喜んでくれるかなぁ」という期待感を胸にセミナー会場に乗り込むことは、当然、毎度のことになります。
 しかし、そんな期待に胸を膨らませている中、セミナー開始5分ぐらいで寝られたり、スマホをいじられて遊ばれたりすると、怒りというよりかは、情けない気持ちになってしまいます。

 だから、もし、セミナーを聞いている最中に眠たくなり、ふらふらと薄目を開けながら頑張って起き続けるような状況になったら、いっそのこと机の上にうつ伏せてもらったほうが、実は話しやすかったりします。そのくらいのほうが話す側としても諦めがつくので、スッキリしたりします(他のコンサルタントは知りませんが)。
 あと「こいつのセミナー、面白くないなぁ」と思ったら、携帯電話がかかってきたふりをして、それでセミナー会場から出て行くのがいいでしょう。これなら、話す側も傷つきませんし、聞いている側も、無駄な時間を過ごさないで、外の空気を吸って散歩をしたり、スタバで仕事ができたり、お互いにハッピーな時間を過ごすことができるようになります。

 このように「聞く側」が、ほんの少し「話す側」に対して気遣いをしてくれるようになると、話す内容のクオリティがあがって、満足のいくセミナーを多くの人が聴講できるようになると思います。
 私も、今以上に腕を磨いて、眠ったり、スマホをいじったりするような人が0%のセミナーを目指して行いたいと思いますので、またどこかの会場でお会いすることがあれば、頑張って私の話に耳を傾けてもらえればと思います。

著者/竹内謙礼

記事をご覧になって下さりありがとうございます、
よかったら気軽にコメントを書き込んでくださいね!

このエントリーをはてなブックマークに追加
rss
上矢印
ページTOPへ